イギリスに行くとこうなる

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landlord-enterig

 

イギリスで賃貸物件に住んでいる場合、大家やエージェントがテナントの部屋に入室しようと試みる場合がある。

家主がよっぽど頭のおかしい人でない限りは無断で勝手に入室することはないでしょう。

 

厄介なのはビューイングです。

テナントがまだ住んでいても退去のノーティスを出すと、秒で新しいテナントのためのビューイングを理由に入室を許可するように求められます。

そもそも家主に不信感があって退去せざるを得なくなったのに、ビューイングと称して何度も占有権のある自分の部屋に家主含む他人を招き入れるなんて不快極まりない。

そう思いませんか?

 

ノーティス期間は通常1ヶ月で、退去日までの家賃を支払っているのにテナントは静かに暮らし部屋で寛ぐ権利を脅かされるのは絶対に間違ってると私は思う。

なので、テナントがビューイングを含む家主の入室を意向しない場合、それを合法的に断ることができるかどうかを調べて、根拠となり得る信頼性の高い情報を集め、まとめました。

※この記事で言及することはイングランドにおける法・制度であるため、他の地域によっては多少異なる場合があります。

 

入室拒否できる

結果から言うとテナントは大家または第三者の入室を断る権利を有する。

テナントまたは裁判所の許可なく大家または第三者が、テナントの占有する場所に入ることは不法侵入とみなされ刑事犯罪となりえます。

テナントは自身の占有する権利を持つ空間に、誰をいつどのような状況で入室をするのかを管理できる。

また、サブテナント(大家の同意のもとに転貸し、直接的に賃貸借契約を締結していない者)にもこの権利は継承されます。

参照: Landlord and Letting Agent Access to Your Property | The Tenants' Voice

 

テナントの定義

この記事で使用するテナントという言葉が指す意味として、家賃を支払って一定の空間を占有する権利を有する者のこととします。

テナントは借地権(Tenancy)の契約をしている必要があります。

契約がTenancyである条件

  • テナントが独占的に占有するスペースがある
  • ある一定の期間
  • 家賃を払い賃貸である

参照: Shelter

 

契約書がない場合、例えば口頭で大家との契約した場合でも借地権契約は存在します。

ただし、証明が難しいため契約を書面で交わすことを強くお勧めします。

契約書を提供せずに口頭での契約を強要された場合はCitizenAdviceに相談してください。

参照: Tenancy agreements - Citizens Advice

 

また大家と同じ家の一部屋を借りている場合にも大家の強制的な入室を拒む権利を有します。

参照: Rights of subtenants who live with their landlord - Citizens Advice

 

大家の物件へアクセスする権利

大家サイドにもアクセスする権利は存在しています。

 

家主に物件へのアクセスを許可して、物件を検査したり修理したりする必要があります。

家主は、緊急ですぐにアクセスする必要がない限り、少なくとも24時間前に通知し、妥当な時間に訪問する必要があります。

出典: Private renting - GOV.UK

 

大家が入室する正当な理由

  • 入居・退去時の物件の状態検査
  • 妥当な間隔での物件の検査(修理や住宅保険の見積もりなど)
  • 物件の修理・メンテナンス
  • 修理やメンテナンスの作業員の入室
  • ガス設備と電気器具の年次点検
  • 契約の終了付近にviewing(内見)を手配する

出典: Landlord and Letting Agent Access to Your Property | The Tenants' Voice

 

緊急時の入室が認められる場合

緊急時には家主やその代理人がすぐにアクセスする必要がある。

その場合はテナントの許可は必要としない。

  • 敷地内に火事が発生している
  • ガスの匂いがする
  • 物件からの浸水
  • 物件に緊急に対処が必要な構造的損傷がある
  • 暴力または刑事事件の疑いがある

出典: Landlord and Letting Agent Access to Your Property | The Tenants' Voice

 

 POINT

緊急時以外では家主がテナントの物件に入るためには、訪問の少なくても24時間よりも前に、どのような目的で誰が訪問するかをテナントに通知をしなくてはならない。 

テナントの権利

quiet enjoyment

テナントは家主や第三者からの妨害を受けずに物件に対して静かに楽しむ権利を有する。

騒音や嫌がらせだけでなく、テナントの望まない家主の頻繁な訪問もこの権利を侵害するとみなされる可能性がある。(参照: The tenants voice)。

 

家主は、テナントに物件を静かに楽しんでもらうという暗黙の義務を負っています。これは基本的に、家主がテナントの物件の楽しみを妨害してはならない(または他の誰かに妨害を許可してはならない)ことを意味します。

出典: Quiet enjoyment in commercial premises - Levi Solicitors LLP

 

それはテナントの家です。

静かに楽しむテナントの権利を許可する必要があります。緊急の場合を除いて、いつでも宿泊施設にアクセスすることはできません。また、修理などのために、少なくとも24時間前に訪問を通知する必要があります。入居は適度な時間で行う必要があり、入居者の許可がない限り、入居者が不在の場合でも入居してはなりません。

出典: How to let - GOV.UK

 

「quiet enjoyment」の権利を覆すことができる唯一のことは、関連する裁判所命令であり、裁判所の特定の役員が財産にアクセスできるようにします。

出典: Landlord and Letting Agent Access to Your Property | The Tenants' Voice

 

テナントがビューイングを断ることができるのか?

テナントが契約によってその物件または一定の空間において占有する権利を保持している場合は家主がビューイングを理由に入室することを拒否することができる。

家主から24時間以上前の通知があったとしても、テナントは入室を許可する義務はないので断ることができる。家主はテナントの許可なく入室することはできない。

 

契約書にビューイング条項の記載のある場合

退去日前にビューイングを許可することを同意させる条項が契約書に記載されている場合がある。

多くの家主は家賃の回収でお金を稼ぐチャンスを逃さないように、テナントのいない期間を短くあるいは全く期間が空かないように、テナントが未だに生活している部屋をすでにマーケットにあげて新しいテナントを探します。これ自体には違法性はありません。

 

契約書にビューイングのために部屋に立ち入らせることをテナントに約束させる条項が記載せれている場合でも、テナントはquiet enjoymentの権利を主張し、ビューイングで家主や入居希望者の入室を拒否することができると考えられます。

 

しかし、気になる点をShelterのサイトで見つけました。

そこに住んでいる間はビューイングを許可したくない場合は、テナント契約の内容を確認してください。

契約書に記載されていない場合は、ビューイングを許可する必要はありません。あなたはそれらが特定の時間にのみ起こらなければならないと言うことができます。

あなたの借家契約はあなたがあなたの家主をビューイングのために入れるべきであると言うかもしれません。拒否した場合、リファレンスを取得するのが困難になったり、デポジットを取り戻すのに問題が発生したりする可能性があります。

あなたの家に来る人は誰でも社会的距離のガイドラインに従うべきです。コロナウイルスまたは自己隔離の症状を示している場合は、家の物理的なビューイングを遅らせる必要があります。

出典: What to do when you leave your rented home - Shelter England

 

「拒否した場合、リファレンスを取得するのが困難になったり、デポジットを取り戻すのに問題が発生したりする可能性があります」という点について。

この部分について詳しく解説されていないので、具体的に発生する問題について明確にできませんでした。

 

一般的にはデポジットが適切な理由、例えば通常の生活により起こった経年劣化ではない物件の破損などがない場合は全額テナントに返還されるべきです。

返還されなかったり、返還が退去後の10日を過ぎた場合、あるいはデポジットがDeposit Protection Schemeによって適切に守られていなかった場合には、家主に対してテナントは法的に訴えを起こすことができます。

 

しかし、家主側としては適切なアクセスができなかったせいで次のテナントを獲得する機会を失い金銭的な損害を被ったと主張し、テナントのデポジットからDeposit Protection Schemeを通して損失を回収する可能性がある。

その正当性についてはDeposit Protection Schemeの判断を仰ぐ必要がありそうです。デポジットの一部または全部が返還されないことに納得のいく理由を見出せない場合はCitizen Adviceに相談するのも一つの手です。

Deposit Protection Schemeを使用していない場合にはこれは機能しないでしょう。

 

拒否可能であることを支持する見解

契約書にビューイングのための部屋の入室を同意する条項があっても、テナントが拒否できるという意見の裏ずけとなるものを探しました。

 

 Citizen Adviceは、家主は賃貸借契約で定められた条件に基づいてビューイングに合理的にアクセスできると言及していますが、それが法的な同意(裁判官の同意など)なしに物件に「強制的に立ち入る」ことを許可するものではないとことが重要だと述べています。

最終的には、真の緊急事態がない限り、アクセスを拒否するテナントの権利は、テナントの「quiet enjoyment」の権利を妨げる条項よりも優先されます。

 出典: My Tenant Won't Allow Me To Enter The Property For Viewings

 

上記の情報は個人ブログから見つけたので、Citizen Adviceのサイトでこの真偽を確かめました。

以下参照。

家主やエージェントにビューイングを実施させたくない場合は、拒否することができ、許可なく入室することはできません。

ただし、アクセスを許可することは契約の一部である可能性があり、契約条件に違反すると、家主は差し止め命令または通知を提供して所有権を主張することにより、それを実施するための措置を講じることができます。

しかし、成功するためには、家主は彼らが合理的であることを証明する必要があり、テナントが潜在的な健康リスクから身を守るための措置を講じている場合、裁判所はそれを合理的と見なさない可能性があります。

最も重要なことは、テナントが安全であり、安全であると感じることです。テナントは、ビューイングを許可するように圧力をかけられるべきではありません。

出典: On the move again: but how can tenants stay safe? - Citizens Advice

 

テナント契約でビューイングアクセスを許可する必要があると記載されている場合

それでも人を入れることを拒否することはできますが、そうする場合は、テナント契約の「broken a term(条件を破った)」ことを意味する可能性があります。

契約条件を破っても、テナント契約は自動的にキャンセルされませんが、家主は次のいずれかを試みるために法廷に行くことができます。

出典: Coronavirus - if you have problems with renting - Citizens Advice

 

Citizen Adviceの見解を要約すると、以下となる。

 POINT
  • ビューイングによるアクセスを許可する条項が契約書にあってもテナントは拒否できる
  • 拒否することはできるが契約違反になる
  • 契約違反となった場合、家主は次の行動をとることができる
  • 裁判所にテナントの合意なしに立ち入る許可を求める
  • テナントを退去させる手続きをとる(セクション8通知または21通知によって)

テナントによる契約違反になっても家主が合法的に強制入室を許可する権利を裁判所に申請する、または合法的な強制退去の手続きを踏まないと、テナントの許可なく立ち入ることはできないということになる。

これらは、コロナ禍である現在(8月2021年)の時点でCitizen Adviceのwebサイト上で見つけられる情報であるため、パンデミックのない状況では少し違う見解が展開される可能性がある。

 

まとめ

家主側の権利とテナント側の権利が対立していて、とても紛らわしい。

どちらの権利が尊重されるのかは実際には明確ではない。

裁判になった時に裁判所の判断に委ねられるのでしょう。

 

ただ、テナントのquiet enjoymentの権利は重要視されているようです。つまり、テナントが不快に感じることに対して家主が強制することはできない。

加えて、コロナのパンデミックが続いている状況においてはテナントの健康的な安全がもっとも重要とされるようです。

 

退去前にテナントが懸念していることはデポジットが返還されるかどうかという点ですね。

家主との関係が悪いと、彼らは難癖つけてデポジットを全額返さないという暴挙に至る可能性がある。

退去を決めたということは家主との関係に問題があることが一つの理由であることは少なくないでしょう。(私の退去理由は大体そうです。)

家主に不信感があるから出て行くのに、さらに物件で静かに楽しむ権利をビューイングによって妨害されるなんてストレスの極みである。

 

とはいえデポジットが正しく返還されるまでは、あまりことを大きくしたくないものです。

テナントはデポジットを人質に取られてる状態ですね。

なので、実際には完全に立ち入り拒否というのは難しいかもしれません。

家主と話し合って妥協できる点を見つけることが一番平和的な解決方法になるでしょう。

テナントと合意のない行為、例えば許可した日時ではない時の訪問やテナントが留守中の入室などが起こった場合は強制的な入室、つまり不法侵入となるため、証拠を集めてCitizen AdviceShelterあるいは警察に相談すべきでしょう。

 

とにかく緊急時以外のテナントの許可のない入室は家主であろうと違法です。

 

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