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イギリスで賃貸物件に住んでいる場合の退去方法について。

住む前に退去方法についても是非知っておいて欲しいです。

自ら退去を申し出る場合と、家主に立ち退きを命じられる場合の2パターンを説明して行きます。

 

契約形態によって退去前のノーティス期間が多少異なったりします。

正しい退去の手順を踏まないと、退去後も家賃や光熱費などの請求をされたりデポジットが返還されなかったりというトラブルになるので注意してください。

 

※この記事で言及される事柄はイングランドにおけるものなので他の地域では少し異なる場合があります。

賃貸契約終了パターン

  1. 家主から立ち退きを言い渡される
  2. テナントから退去の意思を表明する

 

〜1. 家主から立ち退きを言い渡される〜

家主がテナントを退去させたい場合、家主は事前に書面による通知を行う必要がある。

通知期間は契約形態、立ち退き理由によって異なる。

 

Assured Shorthold Tenancies(AST)の場合

以下の場合に家主はテナントを退去させられる

  • Periodic Tenancyの場合
  • Fixed Term Tenancyの契約期限が切れた時
  • DepositProtectionSchemeでDepositを保護していた場合
  • 契約開始から6ヶ月が経過している場合

出典: GOV.UK

 

家主からテナントへの書面でのNotice期間
  • 2020年3月26日より前に通知があった場合2ヶ月

  • 2020年3月26日から2020年8月28日までの間に通知があった場合は3ヶ月

  • 2020年8月29日から2021年5月31日までの間に通知があった場合は6ヶ月

  • 2021年6月1日から2021年9月30日の間に通知があった場合は4ヶ月

  • 2021年10月1日以降に通知があった場合は2ヶ月

出典: GOV.UK

コロナのパンデミックがあった際に退去の通知期間が長くなっていましたが、通常では退去の2ヶ月前に通知を受け取ることになります。

 POINT

ASTの場合は家主による立ち退きのノーティスが一般的には2ヶ月前となっていますが、契約書の条項に違反する行為があった場合や家賃の遅延・滞納があった場合には2ヶ月よりも早いノーティス期間になる可能性があり、その辺の取り決めは家主と合意したあなたの契約書に従って下さい。

 

Fixed Term Tenancyの契約期間内に退去

家主は、特定の理由がある場合にのみ、一定期間内の退去を求めることができます。

  • 家賃の支払いが遅れている
  • 麻薬の販売など、違法な目的で物件を使用した
  • テナントによるプロパティの破損

出典: GOV.UK  

 
家主による退去のNoticeの種類
  • Section 21 notice: 特別な理由のない場合(テナントに非がない)
  • Section 8 notice: 法的な理由がある場合(テナントに非のある)

参照: Shelter

 

家主による退去措置の流れ
  • Notice提出
  • 訴訟
  • 廷吏による追放

出典: Shelter

 

家主による法的に有効なNoticeが渡されたとしても、強制的には退去させられない。

テナントはNotice期間が終了した後でも滞在できなくはない。

家主が強制的にテナントを退去させようとした場合、例えば鍵の交換やテナントの荷物を処分するなどした場合にはHarassement(嫌がらせ)となり違法な退去措置として刑事罰に問われる可能性がある。

この場合テナントは家主に対してRent Repayment Orderを裁判を通して請求できる。

 

Notice後もテナントが滞在した場合に、家主は次のアクションとして訴訟を起こすことができる。訴訟の費用はもちろん敗訴側が支払う。

訴訟の結果が出た後もテナントが滞在する場合は、廷吏によって強制的に追放される。

実際に強制的な退去措置を行えるのは廷吏だけである。

 

参照:

Staying after a section 21 notice - Shelter England

Get help to deal with harassment - Shelter England

 

Lodger agreementnの場合

大家と同居している場合は宿泊者( lodger)の権利は比較的に弱いものになります。

次の場合大家はlodgerを追い出すことができる

  • Periodic契約の場合
  • 書面での契約をしていない場合
  • Fixed Term契約でも早期に契約を終了できると記載されている場合

 

また、大家はDepositProtectionSchemeを使用する義務を負わない。

家賃の値上げもtenancyの場合よりも比較的容易に行える。

参照: Lodgers - Shelter England

 

↓家主によるテナントの立ち退きについては以下の記事でも取り上げているので参考にどうぞ。

lifeinuk.hatenadiary.com

 

〜2. テナントから退去の意思を表明する〜

退去したい場合には通常、家主に対して書面でNoticeを提出します。

実際には口頭やテキストメッセージなどで退去の意思を伝えることが多いとは思います。

その場合にもNoticeを提出した証拠が残るように注意してください。

個人的にはしっかり手紙で提出するのがその後起こり得るトラブルを回避するという点ではおすすめです。

Assured Shorthold Tenancies(AST)の場合

テナントからNoticeを家主に対して提出する。Giving Noticeと呼ばれる。

適切に契約を終了しなかった場合は、家賃やカウンシルタックスを払い続けなくてはならない、またデポジットが返還されない可能性がある。

Fixed term契約の場合(AST)

契約期間の終了日に自動的に契約は終了するのでNoticeを提出する義務はない。

実際には契約終了前に家主から滞在し続けるのか退去するのか事前に確認されるでしょう。

その場合にもテナント側から書面によるNoticeを提出する必要はありません。

 

もしも契約書に通知期間が記載されている場合は、その期間に従う必要がある。

通常は1ヶ月のNotice期間が妥当とされています。

 

契約終了後に1日でも延長して滞在し続けた場合、契約書に契約終了後の契約形態について明記されておらず、新しい契約書に署名をしない限りは、自動的にPeriodic Tenancyに移行する。

 

Fixed termでも早期に契約を終了できる場合
  • 契約書に早期契約終了が可能である旨の"break clause"と呼ばれる条項がある
  • 家主が契約を早期に終了することに同意をする

参照: Citizen Advice

  基本的には早期終了は難しいでしょう。

契約期間内にテナントの都合で退去しなくてはならない場合は、家賃を払い続けるか、残りの契約期間を引き継いでくれる他のテナントを自分で探さなくてはならない。

 

Periodic契約の場合(AST)

固定の契約期間が設けられていない場合は、正しい通知期間でNoticeを提出すればいつでも契約を終了できる。

 Notice期間

家賃の支払いが月毎の場合: 1ヶ月前

家賃の支払いが週毎の場合: 4週間前

参照: Citizen Advice

 

Lodger agreementnの場合

Fixed term契約の場合(Lodger)

契約の期間終了時に自動的に契約は終了するのでNoticeは必要ない。

 

Fixed termでも早期に契約を終了できる場合
  • 契約書に早期契約終了が可能である旨の"break clause"と呼ばれる条項がある
  • 家主が契約を早期に終了することに同意をする

家主の同意が得られないのに契約期間内に家を出た場合は、残りの契約期間も家賃を払い続けなくてはならない。

参照: Citizen Advice

 

Periodic契約の場合(Lodger)

契約書に記載されたNotice期間にしたがってNoticeを提出する必要がある。

もし契約書に期間が記載されていない場合には、excluded tenancyexcluded licenceかによって異なる。

excluded tenancy: 物件の一部の部屋をloggerが排他的に占有する権利があり、その部屋には家主が勝手に出入りすることができない場合

excluded licence: loggerの排他的な専有権が許可されておらず、家主が物件のどの部分にもアクセスできる場合

excluded tenancyの場合

賃貸期間と同じ期間でNoticeを提出する必要がある。例えば家賃が1ヶ月ごとに支払われている場合は、1ヶ月前に通知する。

 

excluded licenceの場合

lodgerは合理的なNoticeを提出すべきだが、何が合理的であるかについては決まった規則はない。

 

参照: What rights do lodgers have? - Citizens Advice

 退去の流れ

  • Noticeを出し退去の意思を通知する
  • 部屋を元の状態と同等に掃除する
  • 退去日に鍵を返還する
  • デポジットが返還される

 

家主と契約終了に同意が取れた場合には退去日を伝え、退去の日に物件の鍵を返却する。

その際に家主と共に部屋や物件の状態を確認することになるでしょう。

部屋が汚いまたは破損がある場合にはデポジットが全額返されない恐れがある。

入居時となるべく近い状態に部屋を掃除し、その証拠として動画や写真を残しておきましょう。

 

経年劣化は許容されるべきだと考えられているが、元の状態にして部屋を返還する義務をテナントは負う。

しかし入居時以上に綺麗にする必要はない。

また損傷については責任を取らされる可能性が高い。

 

プロのクリーナーを雇う必要は基本的にはない。

Tenant Fees Act 2019ではプロのクリーナーによる清掃にかかる費用をテナントに請求してはいけないことになっている。(参照:Prohibited Fees & Permitted Fees In The Tenants Fees Act 2019 l Nelsons)

 

england.shelter.org.uk

 

デポジットの返還

ASTとして契約していて、あなたの家主がまともで、法に従っていればDeposit Protection Schemeを利用しているでしょう。

デポジットは退去後10日以内に返還されなくてはならないと法律で決まっています。

もし家主がデポジットの全額を返還せず、その理由に納得がいかない場合には使用されているスキームを通して紛争を起こすことができる。

 

もしもデポジットが返還されなくてこのスキームによって守られていなかった場合には訴訟を起こし、最高でデポジットの3倍の金額を請求することができる。(参照:Tenancy deposit protection: If your landlord doesn't protect your deposit - GOV.UK)

 

 もし、契約書がない場合やLodgerAgreementの場合はこのスキームを利用していない確率が高いのでデポジットは鍵の返却時に返還してもらうのが良いでしょう。

 

↓デポジットについて詳しくは以下の記事を合わせてご覧ください。

lifeinuk.hatenadiary.com

 

 Notice提出後に期日までに退去できない場合

テナント側からNoticeを出し、退去することを家主と同意していた場合、基本的には退去の意思を取り下げることはできない。

退去日までに退去ができないとわかった時点で家主と交渉してください。

家主の同意があれば滞在し続けることは可能となるでしょう。

 

もしも家主が退去の取り下げに同意しない場合にも、テナントは滞在し続けることは可能ではある。(参照:Can you stay in a rented property after your move out date ?)

 

しかしその場合、家主は退去予定日よりも延長して滞在した日数、日毎に2倍の家賃を請求する権利を有する(section 18 of the Distress fro Rent Act 1737)。(参照:Tenant's Notice to Quit - LandlordZONE)

 

この場合でもテナントの合意がない限りは、家主は合法的な手続きをする必要があると考えられるので、2倍の家賃を請求された場合には大人しく支払わないようにしてください。

Citizen AdviceShelterに相談することをお勧めします。

 

まとめ

この記事を含む私の記事ではいつも法や規則に沿った方法を説明しているのですが、実際の賃貸市場は無法地帯と化していて、違法な家主が多いです。

なので私が示唆したようにはいかないかもしれないです。

特にデポジットに関しては、ASTでもDeposit Protection Schemeを使用していない家主が未だに多いので、返還されない場合には毅然とした態度で訴訟も視野に入れてください。

 

基本的には上記で説明した通りの法的な定めがありますが、実際には契約書による部分も多々あります。

家主による退去通知については、立ち退き理由やノーティス期間などは契約書に従う必要があります。

あなたが契約書にサインをしたということは、契約書に書かれていることに同意したということなので、契約書はよく読み理解して全てに納得してからサインしてください。

契約書にあまりにもテナントに不利な条件があった場合には契約しないように気をつけてください。

 

じゃあ何がスタンダードなのか、テナントにとってフェアじゃない条件とは?と思った方は下記の記事も参考にしてみてください。

lifeinuk.hatenadiary.com

 

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