イギリスで雇用されている人々は、Payslip(給料明細)を見るとtaxとは別にNI(National Insurance)も給料から引かれていることに気づくでしょう。
NIの計算方法と解説は以前記事を書いたのですが、2022−2023年の課税年度で少し変更があったようです。
NIについての政府のサイトの解説がとても分かりづらいんですが、解読したのでそれをシェアしようと思います。
※この記事ではイングランドにて会社に雇用されている労働者(Class1*)を対象に書いています。
*クラスに関しては下記の記事にて説明しています。
NIのレートが上がった!
2022−2023年の課税年度からNIの課税レートが13.25%に上げられました!
ちなみに以前までは長らく12%でした。
給料が一定金額を越えると追加でさらにNIを徴収されるのですが、その追加分のレートも2%から3.35%に上がりました。
レートが上がったということは取られるお金も多くなったということです。
NIのレートが1.25%も上がった。
12%(2021-2022)➡︎13.25%(2022-2023)
引用: Rates and thresholds for employers 2022 to 2023 - GOV.UK
National Insurance Category Letter
上記の図に記されているアフファベット"National Insurance Category Letter"ですが、多くの場合カテゴリーAに分類されます。
また21歳以下ならカテゴリーMですね。
以下の図を参考に自分がどのカテゴリーに分類されるかご確認ください。
引用: National Insurance rates and categories: Category letters - GOV.UK
NIが適応される新しい基準額
NIが適応されるしきい値も上がりました。
これはNIが徴収され始める給料の金額が上がったということなので、NIの支払いを免れる範囲が広くなったということ。
同時に、給料が一定金額を越えると追加でNIを払うようになる、上限ラインの金額も上がりました。
引用: Rates and thresholds for employers 2022 to 2023 - GOV.UK
Primary Threshold
上記の図のピンクの枠で囲った"Primary Threshold"にNIが徴収され始める金額が示されています。
ややこしいことに、年度の前半後半で値が異なっています。
2022年4月6日から2022年7月5日までの値: £190/週, £823/月
2022年7月6日2023年4月5日: £242/週, £1048/月
年間を通して: £11,908
Upper earnings limit
図のもう一方のピンクの枠、"Upper earnings limit"は、給料がこの額を超えなければ追加でNIが徴収されることはないという上限額。
この額を超えて稼いだ場合には、追加でNIを徴収されます。
週に£967
月に£4,189
年間£50,270
つまり、2022年4月6日から2022年7月5日までは週に£190〜£967、月に£823〜£4,189の間の給料に対しては13.25%が適応される。
週に£967、月に£4,189を超えた分の給料には3.25%が適応されるということです。
NIの計算方法
上記までの説明でもなかなか腑に落ちないかと思うので、NIの計算方法を具体例を挙げて説明します。
以下の条件を例に計算することとする。
- 2022年-2023年をtax yearとした時の計算方法
- 月収に対して計算する
- 2022年4月6日から2022年7月5日のPrimary Thresholdを適応する
<収入が月£4,189を超えない場合>
月収が£1,000の場合
£1,000(月収)-£823(Primary Threshold)=£177
この£177に対してNIが課税される。
£177(課税対象)x0.1325(13.25%)=£23.45
この月収に対して徴収される金額は£23.45となる。
<収入が月£4,189を超える場合>
月収が£4,500
£4,189(Upper Earnings Limit)-£823(Primary Threshold)=£3,366x0.1325(13.25%)=£445.99
£4,500(月収)-£4,189(Upper Earnings Limit)=£311(3.25%適応される課税対象額)
£311x0.1325=£41.20
£445.99+£41.20=£487.19
この月収に対して徴収される金額は£487.19となる。
まとめ
NIのレートが上がったが、その分徴収され始める金額も上がったので、あまり稼がない人にとっては前よりも引かれる額が少なくなったかも。
反対にたくさん稼ぐ人の税負担が重くなったようだ。
累進課税恐ろしい…。