イギリスで合法的に仕事をしている人は、所得に対して所得税の他にNational Insurance(NI)を給料から天引きされます。
National Insurance=国民保険
イギリスで職に就く際にNIナンバーを所得しますが、その番号に紐付けられて個人の税金が管理されています。
所得税(incom tax)とNIは計算方法が異なります。
とてもややこしいので、給料から引かれるがままにしていて自分が適切な金額を払っているのか確認していない人が大半なのではないでしょうか。
給料から自動的に引かれるので、会社の会計がいい加減な場合、支払い額が適切ではないことがあります。けっこう税金関係をうやむやにしてる怪しい企業が多いので自分で税金の確認をすることを強くおすすめします。
TaxYearとP800
税金の管理はHMRCという機関が行っています。
税年度(tax year)は4月6日から翌年の4月5日。
給料は月ごとあるいは週ごとに受け取り、税金も先に計算されて引かれます。
tax yearが終わると1年間の所得と税金が計算され直すので、税金を多く払い過ぎていたら過払い金が変換され、払った額が少なかったら支払いを要求されます。
翌年の税金は6月から10月の間に計算されて、11月末までに該当者にHMRCから通知がきます。
この通知はP800と言われる手紙です。
↓P800がこない人はTaxRefundの申請を手動でできるのでこちらを参考にしてください。
NIの種類"Class"
雇用形態によって異なるNI基準が適応されます。
Class1-4に分けられる。
会社に雇用されている労働者の場合はClass1、自営業の場合はClass2といったかんじ。
この記事では雇用されている労働者の場合の "Class1"を例にあげて説明します。
NIが適応される基準額
給料がある一定額を超えるとNIが自動的に徴収されます。
ピンクで囲った部分が雇用者に当てはまる基準額。
要するに、2020年から2021年では、週の給料が£183を超えるまたは月給£792を超える場合にNIが引かれ始めます。
そして、週£183(月£792)を超えた収入に対してNIが差し引かれます。
例えば月収£1,000の場合、
£1,000-£792=£208
この£208がNI徴収の対象額となる。
上のスクショの「Upper Earnings Limit」はこの金額までは同じレートで計算されるという基準。
つまり、週£183(月£792)~週£962(月£4,167)までは同じレートが適応されるということです。
NIの計算レート
引用: Rates and allowances: National Insurance contributions - GOV.UK
通常のレートは12%。
収入が週£183(月£792)~週£962(月£4,167)の間では12%のレートが適応されます。
週£962(月£4,167)を超えた金額に対しては2%が適応される。上図の緑で囲った部分。
以上のことを踏まえて具体例を出して説明します。
計算方法の例
以下の条件を例に計算することとする。
- 2020年-2021年をtax yearとした時の計算方法。
- 月収に対して計算する。
〈収入が月4,167を超えない場合〉
月収£1,000の場合、
£1,000(月収)-£792(Primary Threshold)=£208
この£208に対してNIが課税される。
£208(課税対象)×0.12(12%)=£24.96
この月収に対して徴収される金額は£24.96となる。
〈収入が月4,167を超える場合〉
月収£4,500の場合、
£4,167(Upper Earnings Limit)-£792(Primary Threshold)=£3,375×0.12(12%)=£405
£4,500(月収)-£4,167(Upper Earnings Limit)=£333(2%が適応される課税額)
£333×0.02%(2%)=£6.66
£405+£6.66=£411.66
この月収に対して徴収される金額は£411.66となる。
年間での計算
毎月の給料からNIが差し引かれるが、複数の仕事をしているとそれぞれの仕事からNIを差し引かれるので、払いすぎたり払わなすぎたりしている場合があります。
年間通して、いくら払うべきだったのかを計算する方法があります。
2020-2021のtax yearで、雇用者Class1が当てはまるのは上図のピンクの範囲。
年収£9,500以下の場合はNIは徴収されない。
年収£9,500~£50,000の場合は£9,500を超えて£50,000以内の金額に対して12%分がNIとして徴収される。
年収£50,000を超える場合は£9,500を超えて£50,000以内の金額に対して12%分、£50,000を超えた金額に対しては2%分がNIとして徴収される。
〈例〉
年収£50,000を超えるような富裕層はこのブログを見ないと仮定して、庶民的な収入の場合を例にします。
上図は、2つの別の仕事をしている場合の例。
NIはそれぞれの仕事での月収を対象に計算されているから2つの仕事での収入を合計したものとは異なる。
この図での年収は2つの仕事合わせて£15,100、支払ったNIの合計は£408.48となる。
年収に対してのNIの計算方法で確認すると以下のとおり。
£15,100(年収)-£9,500(控除額)=£5,600(課税対象額)
£5,600×0.12%(レート12%)=£672
なので、払うべき金額は£672。しかし、実際に支払った金額は£408.48なので、NIを少なく払っているということになる。
差額の£263.52を翌年のHMRCによる税金の計算が終わった頃に請求される可能性がある。
逆に払いすぎている場合は、HMRCに返金を請求できるが、わざわざ手紙で証拠を揃えて請求しなくてはならないようです。なんて面倒な…。
↓下記のリンクからrefundを請求する。
Claim a National Insurance refund - GOV.UK
HMRC関連のリンク
自分が支払ったNI金額を確認できる
HMRCの連絡先
まとめ
こんなにややこしいNIの計算方法。
自分が忘れないように書き残しておくけど、誰かのためになれば幸いです。
通常レートの12%って結構高い…。
ワーホリの人は日本に帰国した後タックスリターンをすると思いますが、帰ってくるのはincom taxだけでこのNIは返ってこないらしいです。
NIが給料から引かれないようにあらかじめ計算して、その金額を超えないように仕事を調整するのも一つの手ですね。